札幌便り(10)
北海道の七夕は8月7日にやってくる。もっとも、函館は例外で7月7日らしい。商業施設のなかでは笹が飾られて、誰でも短冊をかけられる。子供は思い思いのことを書く。 プリキュアになれますように星祭り 「プリキュア」は日曜日の朝に放映するアニメで、数年来シリーズが続く。女の子に人気のヒーローだ。 ししとうに塩ふりかける涼しさよ...
View Articleひびわれを埋める仕事
世の中にはたくさんの仕事がある、それらは必要なことの領域を覆い尽くそうとしている。とりわけ、資本主義の力によって、お金になる=ビジネスとして成立する、という仕方で、持続可能なようになされる。 ところが、これは誰でもそう感じるのではないか、と思うが、すでにある仕事だけでは、必要なことの領域は、不完全にしか覆われていなくて、あちらこちらにひびが入っている、と。...
View ArticleBroken English
表題のブロークン・イングリッシュとは、でたらめな英語、あやふやな、はっきりしない英語のこと。 いま、グローバリゼーションとともに世界中で英語が話され、学ばれている。英語の一極支配、英語への一極集中だ。だが、他方で、とりあえず外国人とコミュニケーションをとるのに英語を使うが、よくしゃべれないので、いい加減な “broken English” でなんとかしよう、とするひとも多いと思う。...
View Article【俳文】札幌便り(11)
誰もいない秋夕焼の広場かな 雑木林の向こうは色に染まって。この秋は空から降りてくる、だんだんに。 数えればひふみよいくつ星月夜 なんの日か秋桜みんな咲いている 都会の夜空は星も見つからないようでいて、探せば増える。「今日はなんの日」と唱えたくなるような、群生。 月はまだ半分にてもなかなかや 爽やかに珈琲の香も漂い来...
View ArticleFacebookの辞表
最近、Facebookのアカウントを削除した。僕はもともと熱心なユーザーではなかったが、やめるに当たっては考えもしたので、そのわけを記してみたい。 最近、Facebookには馴染んだようにさえ思っていた。はじめの頃は、実名登録であること、ひたすら食べ物の写真や飲み会の写真がアップされることに辟易していた。というより、Facebookを始める前から「浅はかそうなサービス」と斜めに見下ろしていた。...
View Article【映画を読む】クロワッサンで朝食を
フランス映画「クロワッサンで朝食を」を観て来た。シンプルだけれど、深みのある映画だ。この映画を「読解」してみよう。※ 以下では、ストーリーの詳細から結末まで触れるので、こ れから観にゆかれる方は読まないことをおすすめします。...
View Articleはてしない物語のふたつの読み方――ファンタージエンの友達
はてしない物語には、ふたつの読み方があると思う。焦点は後半だ。ここは文学的で、思想的になっているが、奥底には平明なものがあると思う。それをどう読むか。...
View Article【俳文】札幌便り(12)
本の執筆が佳境を迎えて。 書き上げても書き上げても青蜜柑 「分け入っても分け入っても青い山」(種田山頭火)の真似をしてみるが、これはきちんと熟さないと困る。 旅に出でなんとす紅葉かつ散れば 丸いのもハートの型も紅葉かな 秋深しこの靴ももう二年経つ 円山公園は十月の半ば頃から黄葉がちらほらと散り、十月の末には紅葉も真っ盛りとなった。 行く秋や同じ木を見る何度でも...
View Article【俳文】札幌便り(13)
立派な洋梨を見つけて色も形も申し分なく、見ようによっては少しいびつなのもおかしとて家に持ち帰り切るけれども、じゃりと言うばかりで味の淡泊なること甚だし。 洋梨の切るまで味のわからなさ 同じように、はと麦茶もいい加減に選んで買ったからかこのあいだのはと麦茶(メーカーがちがった)のように豊かな香りが満ちてこない。かたや檸檬をしぼっただけの水が驚くほど美味しい。 霜降やあたりはずれのはと麦茶...
View Article学芸員の眺める景色——山梨県立美術館の取材
学芸員の眺める景色——山梨県立美術館の取材 木村洋平 先日、山梨県立美術館で働く「しまりん」さんにお話を伺って来ました。彼女は学芸員です。学芸員とはどういう仕事なのか。現場としての美術館はどんなものか。近頃はやりの「キュレーター」とは――。...
View Article【俳文】札幌便り(14)
12月を迎えた。東京はいままでになく暖かく感じるが、やっと身体が札幌に慣れてきたためだろう。季節が二ヶ月分はちがう。 東京のアスファルトにも霜降りて 札幌では雪が降っているだろう。 冬晴れや白髪吹き上げそよぐ風 霰降る晴れ間より訃報のように 寒風のなかでお菓子をかじる駅...
View Articleはてしない物語のふたつの読み方――ファンタージエンの友達
はてしない物語には、ふたつの読み方があると思う。焦点は後半だ。ここは文学的で、思想的になっているが、奥底には平 […]
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